
年々導入する個人事業主・法人が増えているクラウド型会計ソフト
。
freee、マネーフォワード、弥生などが代表的ソフトとして有名です。
このメリットとデメリット、従来のインストール型ソフトの違いや比較についてご相談頂く機会が多いため、簡単にご説明します。
クラウド型会計ソフトのメリットは?
メリット1:ウェブ明細と同期・連携して帳簿データに反映させる

クラウド会計ソフトを導入する最大のメリットは、銀行・クレジットカード・電子マネー・レジ・通販のウェブ明細と同期して自動で取得できることです。
この機能はとても便利で、記帳の手間を大幅に減らすことが出来ます。
クラウド会計ソフトを導入すると、銀行口座のネットバンクやカードの取引明細と同期・連携できます。
同期・連携をすると、振り込み・引き落とし・購入取引があった場合、日付け・金額・内容がクラウド会計ソフトの帳簿に自動で登録されます。
つまり、クラウド会計ソフトを導入することで、自分で取引明細を手入力する手間が無くなり、入力ミスがほとんど無くなります。
通販・レジ・電子マネーとも同期連携できる
同期・連携対応しているものは、銀行やクレジットカードだけではありません。
クラウド会計ソフトによっては、Amazon・楽天・ASKULなどの通販、Airレジ、Edy・モバイルSuica・PayPalの電子マネーでの決済明細も、「同期する」をクリックするだけで取り込むことが出来ます。

同期対応できる銀行・クレジットカード・その他サービスは、ソフトによって異なりますので注意しましょう。
対応数と種類が一番多いのはマネーフォワードで、PayPalやモバイルSuicaなどにも対応しています。一番少ないのは弥生のソフトです。
メリット2:勘定科目を推測¥して自動仕分けや提案をしてくれる

金融機関などと同期してクラウド会計ソフトに取り込んだウェブ明細は、過去の取引履歴から勘定科目を推測して自動で仕分けをしたり勘定科目の提案をします。
例えば、毎月の固定費になる事務所家賃の9万円が銀行から自動で引き落としされたとします。
ここで、クラウド会計ソフトが自動仕訳け処理する一連の流れを、簡単な表にしてみます。
クラウド会計ソフトの自動仕訳け処理の流れ
- 事務所家賃9万円がA銀行から引き落としされる。
- クラウド会計ソフトが、自動で銀行のウェブ明細と同期して、日付け・金額・取引先のデータを取り込む。
- ソフトが過去の取引履歴から「この引き落とし明細の勘定科目は事務所家賃だ」と自動で判別・入力。
- 会計の管理者は、その勘定科目が間違いないかチェックしたら「登録」をクリックするだけ。
↓
↓
↓

いかがでしょうか?帳簿付けは「登録」をクリックするだけになります。
クラウド会計ソフト導入したての時は、過去の取引履歴データがありませんので、最初は自分で勘定科目だけ入力する必要があります。(プルタブから項目を選ぶだけです)
弊社の場合はAmazonから書籍を購入することが多いのですが、取引履歴が増えるとソフトが自動で「新聞図書費」と判別してくれるようになりました。
同期・連携できるおかげで、長い本のタイトルの手入力が不要になって、帳簿作成の手間が大幅に減少しました。
メリット3:バックアップの必要が無い

クラウド会計ソフトを利用すれば、バックアップを取る必要が無くなります。
複数の地域に設置したバックアップサーバーに、自動保存される仕組みです。
「クラウド会計って会社のサーバーで保管しているんでしょう?そのサーバーが故障したらどうなるの?」という心配をされると思いますが、その心配はほぼありません。
なぜなら、主要なクラウド会計サービスを展開しているfreee・マネーフォワード・やよい会計の3社は”分散型バックアップ”をしているからです。
分散型バックアップとは自社内のサーバーだけではなく、複数の県や複数の国のバックアップサーバーに、同時にバックアップデータを保存する仕組みです。
このバックアップ体制で運営されていることで、例えば「〇〇県に竜巻が起こった、大地震が起こった」などで1つのサーバーがダメージを受けても、他の箇所に設置したバックアップサーバーが生きているので会計のデータはしっかり守られるのです。

心配であれば、手動でバックアップを取る事も可能です!
ですが、次に説明しますがデータ流出の可能性は高くなってしまいます。
メリット4:クラウド会計のセキュリティは高い

クラウド会計のデータ流出においてのセキュリティは、パッケージ型ソフトよりも高いと言われています。
データ流出などのセキュリティ問題の多くは、自社でCD-Rやフラッシュメモリにエクスポートしたケースが8割以上に上るデータが出ています。
しかしクラウド会計ソフトの場合は、自動で分散型のバックアップサーバーに自動保存されます。
バックアップデータを手動で電子媒体にエクスポートする必要が無い為、置き忘れ・紛失・盗難に遭うこともありません。
また、クラウド会計ソフトのデータ通信のやり取りは、金融機関レベル256bitによる暗号化通信、口座情報も暗号化で行われています。
(つまり、凄く複雑で解読ほぼ不能の暗号化システム)
さらに、国際的なセキュリティ認証TRUSTe(トラストイー)を取得しています。

ログインIDとパスワードさえ漏れなければ、セキュリティは保たれます。
セキュリティを高くしたい場合は、なるべく複雑なパスワードにする必要があります。
メリット5:簿記の知識がほぼ不要

クラウド会計ソフトを使えば、簿記の知識が無くても帳簿作成から確定申告書・決算書の作成ができます。
ただし、簿記知識が無いとほとんど操作出来ないソフトもあるので注意が必要です。
今までのインストール型会計ソフトだと、帳簿作成のために簿記の知識を勉強する必要がありました。
例えば、

確定申告ソフトを買ってインストールしたけど、何から触れば良いのか分からない・・。
この経費の科目は何?家事按分?減価償却?複式簿記?
確定申告書類に必要な決算書っていったいなに???
このように、確定申告や法人決算の初心者にはハードルが高い物でした。
しかしクラウド会計ソフトの場合は、自動提案、マウスのカーソルを乗せると「ここは〇〇を記載しましょう」などのガイド表示が出るものもあります。

上記画像はクラウド会計ソフトfreeeの勘定科目入力画面です。
難しい専門用語が分かりやすい表現に置き換わって書かれていますし、「新聞図書費は定期購読料も含まれますよ」とガイド表示されています。
複式簿記形式の記帳や決算書なども自動で変換・作成してくれます。
このように、会計ソフトによっては説明が丁寧で分かりやすく作られているので、難しい簿記知識が無くても記帳・確定申告・決算書類の作成が出来るようになっています。
私はクラウド会計ソフトのおかげで、自然と簿記や経理の知識が身につきました。
メリット6:チャットサポートが凄く便利

freeeやマネーフォワードだとチャットサポートが利用できますが、これがとても便利です。
最初は「電話サポートの方が良いのかな?」と思いましたが、今では逆にチャットサポートの方が利便性が高いと感じています。
例えばクラウド会計ソフトfreeeの管理画面の下には「チャットで相談しませんか?」というタブが設置されています。
ここをクリックすると、
タブが開いて、基本知識から仕訳け・決算・確定申告の方法まで、サポートとチャット相談することが出来ます。
さらに、サポート員と自社の管理画面を共有してサポートできる為、より的確なアドバイスや解決方法を教えてもらうことができます。
そしてチャットサポートではやり取りのログが残りますので、「そうだ、こう処理するんだった」と見返すことが出来ます。
電話の場合は「あれ?なんて言ってたっけ・・?」という事もありますからね。

マネーフォワードと弥生では電話サポートも用意されています。
ですが電話の場合だと、保留待ち時間が長くかかったり、待たされてその間他の仕事ができません。
チャットサポートの場合はチャット欄に質問を投げておけば、サポートの手が空いた時に対応してくれます。
その間は自分も他の仕事をすることが出来るので、チャットサポートがあることで助かっています。
メリット7:Windows,MacなどOSを選ばずに使える

クラウド会計ソフトはWindows,MacなどOSを選ばずに利用できます。
Macユーザーには朗報ではないでしょうか?
ブラウザで動作するソフトですので、PCを買い替えてもデータの移行などの手間が一切ありません。
クラウド会計ソフトはインストール型のソフトと違い、インターネットエクスプローラー・グーグルクロム・safari(サファリ)といったブラウザ上で動きます。
よって、「今は店舗のPCはWindows使っているけど、ノートPCはMac。両方のPCで会計業務を行いたい」という場合にも対応できます。
また、従来のインストール型ソフトだと、PCを買い替えた場合は「ソフトをインストールし直して・・、いや、古いから買い替えようか・・。データもエクスポートしなきゃ・・。」という事が多々ありました。
しかしクラウド会計ソフトの場合は、ソフトもデータが全てクラウドサーバーで動いているため、PCを買い替えた時の手間が一切起こりません。

これが最高に便利です!
インストール型ソフトだとライセンス認証の解除も必要ですしね。
前はPCの買い替えで起こるソフトとデータの移行作業は面倒でしたが、クラウド化されてから本当に楽になりました。
メリット8:スマートフォンアプリにも対応している
freee、マネーフォワード、弥生ともに、クラウド会計のスマートフォン版も用意されています。
例えば出張中の新幹線の移動中やちょっとした空き時間に、スマートフォンで仕分け業務をすることができます。
また、外出先で購入したちょっとした買い物のレシートをすぐに帳簿に入力できるため、経費の取りこぼしが少なくなります。

ちょっとしたレシートはその場でスマホカメラで写真を撮って保管出来ます。
領収書の電子化登録許可を得ている人には便利です。
メリット9:常に最新版が使えて税制改正時でも問題が起きにくい
最後のメリットは、常に最新版が使えることです。
月額料金制・年額料金制のため、常に最新の機能が追加になっていますし、消費税率改正などの税改正・法改正の場合でもスムーズに対応出来ます。
買い切りのインストール型ソフトの場合だと、ソフトのアップデートモジュールを追加購入したり、ソフトを買い直して過去のデータをインポートする必要があります。
データが古すぎると、互換性が完全ではないため問題が生じることもあります。
クラウド会計だと、こういった問題は皆無になります。

クラウド会計ソフトにかかる年額料金は、サポート料込で確定申告版は1万円前後、法人会計版は2万円前後です。
インストール型ソフトの場合、最初の購入時は1万円ほどです。しかし税制の変更がある度にバージョンアップ費用が発生し、有料サポートも申し込むことになり・・・。
トータルで考えると、コストはクラウド会計ソフトと変わらないんですよね。
クラウド会計ソフトのデメリット
デメリット1:インターネットが無いと利用出来ない
クラウド会計の最大のデメリットは、インターネットが無いと利用できない事です。
例えば頻繁にインターネット回線が切れるような場所で事業を行っている場合、入力したデータが反映されていなくやり直しが必要になるケースがあります。

ネットの接続がしょっちゅう切れてしまう環境だと、クラウド会計の利用は厳しいです。
デメリット2:IDとパスが知られるセキュリティ不安がある
クラウド会計にログインする場合は、メールアドレスやIDとパスワードを入力します。
もしこれらの情報が漏れたら、第三者に会計データを見られてしまうことに繋がります。
今は長いパスワードに記号を混ぜたパスワードにすれば、ほとんど第三者にパスワードが破られるケースはありませんが、中には不安と感じる人もいるようです。

とはいえ、インストール型ソフトを利用して電子媒体にバックアップしても、置き忘れ・盗難・紛失してデータ流出しているケースが8割ほどです。
セキュリティ問題の多くの原因は、「人」なのです。
デメリット3:現金取引・手形が多い事業者には向かない
クラウド会計の最大のメリットは「銀行やクレジットカードのウェブ明細データと同期できること」のため、現金取引・手形取引が多い事業主がクラウド会計を利用しても、結局手入力になってしまいメリットが感じられにくくなります。

ただしこのデメリットは、インストール・クラウド型でも同様のデメリットになります。
そうなると使いやすさ・分かりやすさが会計ソフトを選ぶ決めてになりますね。
今「一番分かりやすく使いやすい」と言われているのは、クラウド会計ソフトfreeeです。
デメリット4:画面の切り替わりに読み込み時間が発生する
クラウド会計はインターネットブラウザ上で会計入力を行うため、入力画面を切り替える時などは数秒の読み込み時間が発生します。
ネットが光回線であれば1~2秒の読み込み時間で気になりません。しかしADSLや有線で、かつパソコンのスペックが古く低い場合は、4秒以上かかる事もあります。
この読み込み時間が長いと会計業務が効率よく進まない為、PCスペックが古くインターネットの回線速度が遅い事業所で業務をしている方には、インストール型ソフトの方が良いかもしれません。

今やPCとネットは事業のための必須ツールです。
ある程度の環境を用意した方が、経理以外でも時間の節約や効率化が出来ると思います。
まとめ
以上、クラウド会計ソフトのメリットとデメリットをご紹介しました。
弊社の場合は銀行・クレジットカード決済が多い為、クラウド会計ソフトを導入しています。
金融機関との同期・連携機能のおかげで、会計業務にかかる時間が今までの5分の1ほどになります。
また、空いた時間は他の業務や休憩に充てることが出来るため、本業に集中できています。

弊社がクラウド会計ソフトを導入した際は、5社を実際に触って比較検討をしました。(クラウド会計ソフトfreeeを利用しています)
このページ下にある【関連記事】に比較ページも作っていますので、ご参考頂ければ幸いです。